2019年10月8日火曜日

「JOKER」ネタバレ感想「キング・オブ・コメディ」を見よ

公開初日、仕事終わりにTジョイT-LEXで鑑賞してきたのでネタバレ感想を書こうと思う。

良い点

ビジュアルのこだわり

 予告でも見て取れるがカット毎の「こだわり」を感じる。ほぼ全シーンにホアキン・フェニックスが出ているので、ちょっとクドいがそれを凌駕するシーンの数数。画の色味からアングル、いちいち刺激的なのは間違いない。撮影はローレンス・シャー。この映画で初めて知ったが、お見事。

父性コンプレックス

 この映画まともに「家族」というか父親がいる家庭が出てこない。トーマス・ウェインは登場するが、家族と居るシーンは2回ぐらい?だと記憶している。アーサーは虐待を受け、養子という設定は「孤独」を浮き彫りにしていて精神崩壊とジョーカー誕生の1つの引き金として描いているが、ラストのウェイン夫妻が殺される、バットマンだと恒例シーンは、バットマンの誕生を対比で描いている。まさしくラストシーンで「理解できないジョーク」はコレである。ここは正直ニヤニヤものだが、個人的にはココで終わっておいたら……。

悪い点・気になったところ

音楽のこだわりの無さ

 弦楽器的なものでずっと張り詰めている様子を音楽で表しているが、これはまだ分かるとして時代設定を投影するためか、歌モノが多い。それだけに音楽が印象に残らず、薄い。サントラを買おうとは思わない。

元ネタでもある「キング・オブ・コメディ」要素が強め

 これは悪い点ではないのだが、公開前日にアマプラでキング・オブ・コメディを見たのが原因で、なぞっている点があまりにも見受けられる。というよりマーティン・スコセッシが協力しているので、当たり前かもしれない。ロバート・デ・ニーロはどちらも出演しているため隠す気はそもそも無いが、「JOKER」を作る前に「キング・オブ・コメディ」で自分は魅せられてしまった。


 むしろピエロメイクも無ければ、笑い声も無いキング・オブ・コメディの方が狂気性を感じてしまうのは盛大な皮肉かも。

まとめ・なぜ「JOKER」は受け入れられたのか?

 「JOKER」を見て思うのが「社会的弱者」というのが1番大きい。今回のジョーカーOriginは精神疾患や脳の障害など、自分か知り合いなどに問題を抱えている人は少なからずいるということを前提に見るものだと思う。


 年代設定は少し古めだが、このゴッサムという街を見ていると何も変わってないなとも思わせてしまう映画でもある。介護、虐待、福祉、メンタルヘルス、貧困、格差などリアルで起きている問題をアーサー1点に集中している。原作やティム・バートン版「BATMAN」などは化学薬品で、肌が白く髪は緑になってしまうが、今作は怒りやネガティヴというマイナスエネルギーがジョーカーを確立させ、作られている。


 これを見て落ち込んだり、鬱などの感想をちょいちょい見るのだがそれも分かるが、現実にこういう問題を抱えてどうしようもない気持ちや感情を抑圧して、生活を送っている人も居るし事件でだって起こっている。リアルで起きていることであって無視をするなというメッセージ性。この映画はジョーカーじゃなくても成立するのに、あえてコミック映画として混ぜているのが重すぎない塩梅(予算的な都合もある)、タクシー・ドライバーやキング・オブ・コメディとは違う点である。

 サンプリングして再構築するHIP HOPの要素は映画界にもあるが、元ネタには勝てないとも取れてしまう位置付けで個人的には落ち着いてしまった。

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